花言葉を君に。


そして、ママとの記憶も薄い。


でも、ママはいなくなる前にあたしと楓にぃににこんな言葉を残してくれた。


「楓はお兄ちゃんだから、紫苑のことを守るのよ。紫苑を泣かせたりしないで。」

「紫苑は楓を頼ってあげて。たったひとりの肉親だから。でも、楓の負担にならないように、楓のことを守ってあげてね。」


同じくらい楓にぃにと過ごした期間も短いのだけれど…


なぜかしっかりと記憶されてる。


2歳年上の楓にぃに。


いつも優しくて、いつも笑ってて、自慢のお兄ちゃんだった。


そんな楓にぃにがお葬式で泣きじゃくるあたしに言ったこと。


「紫苑。にぃにがずっと紫苑のそばにいるから。 何があってもずっと紫苑を守るから。約束だよ。」


そう言いながら涙をこらえて、あたしを抱きしめた楓にぃにが、未だにあたしの心の中にしっかりいる。


そのときの楓にぃには、最高にかっこよくて。


ずっと楓にぃにについていこう。


ずっと楓にぃにと生きていこう。


そう決めた。そう決めたのに。
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