花言葉を君に。
3章 アスター
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「あたしは、ユウキ先輩のことが好き。」
ライバルである桐生明梨にこう宣言してから、しばらくの月日が流れていった。
あたしの恋心は、まだちゃんと胸の中にある。
少しずつ育っていく恋の花の芽。
ユウキ先輩はまだ気づいていないでしょ?
こんなにもユウキ先輩のことを好きなのに。
でも、気づかなくていい。
今の幸せが壊れてしまうのが怖いから。
今、こうやってユウキ先輩の隣でただの後輩として、同じく花を愛する者として、笑っていられるだけでいい。
それだけで、幸せだって思えるから。
でも…こんなにもユウキ先輩のことが好きなのに、楓にぃにのことを思ってしまう。
楓にぃにが未だに恋しい。
逢いたくて、花壇の前でひとりになったときは、切なくて泣いてしまうほど。
ただ、たったひとりの兄に逢いたいって思うだけなのに、叶わない。
「楓にぃに…。」
目の前で咲く花に向かって呟く。
まだ、ユウキ先輩は授業が終わってすぐだから来ないはず。
少しだけ泣こうかな…。
目をつむったとき突然、後ろから目隠しをされた。
「!?」
抵抗しようとすると、声がした。
「だーれだっ?」
「!!ユウキ先輩…?」
恐る恐るその名前を呼ぶと、手が離れた。
後ろには汗だくで笑うユウキ先輩がいた。