花言葉を君に。
今ここにいるのは、あたしとユウキ先輩の二人だけだ。
あとひとり誰かいるってこと?
焦りながら早口で話すユウキ先輩の姿、初めて見たかもしれない。
「それで籍だけでもいいからって言って、友達に入ってもらったんだけど…そいつが」
「あ。やっと見つけたよ、ユウキ☆」
聞いたことのない男の人の声がして、辺りを見回すとひとりの人が木の陰からこちらを見ていた。
少しルーズな制服の着こなし。明るい茶髪。左耳のピアス。
…明らかにチャラい人だ。
この人がユウキ先輩のお友達?
「…イズミ…。」
重いため息を付くのと同時に、チャラい彼の名前を呼んだ。
イズミ先輩。
「なんでそんなに暗いんだよ、お前。」
「暗くもなるだろ。ちょうど後悔してたんだよ、イズミを園芸部に入れたこと。」
え。
この人、イズミ先輩がもうひとりの園芸部員!?
「なんでだよ!俺みたいにイイやつ他にいないだろ?なんたって元」
「あ、紫苑ちゃん。このバカみたいなバカが、3人目なんだけど…」
「は、はい。」
ハイテンションなイズミ先輩をちらっと見ると、不覚にも目が合ってしまった。
「あんたがユウキの言ってた後輩?」
「はい。黒澤紫苑です。」
「ふ~ん。」
こっちに近づいてきて、至近距離であたしを見る。
この人、一体何なの!?