花言葉を君に。


今ここにいるのは、あたしとユウキ先輩の二人だけだ。


あとひとり誰かいるってこと?


焦りながら早口で話すユウキ先輩の姿、初めて見たかもしれない。


「それで籍だけでもいいからって言って、友達に入ってもらったんだけど…そいつが」


「あ。やっと見つけたよ、ユウキ☆」


聞いたことのない男の人の声がして、辺りを見回すとひとりの人が木の陰からこちらを見ていた。


少しルーズな制服の着こなし。明るい茶髪。左耳のピアス。


…明らかにチャラい人だ。


この人がユウキ先輩のお友達?


「…イズミ…。」


重いため息を付くのと同時に、チャラい彼の名前を呼んだ。


イズミ先輩。


「なんでそんなに暗いんだよ、お前。」


「暗くもなるだろ。ちょうど後悔してたんだよ、イズミを園芸部に入れたこと。」


え。


この人、イズミ先輩がもうひとりの園芸部員!?


「なんでだよ!俺みたいにイイやつ他にいないだろ?なんたって元」


「あ、紫苑ちゃん。このバカみたいなバカが、3人目なんだけど…」


「は、はい。」


ハイテンションなイズミ先輩をちらっと見ると、不覚にも目が合ってしまった。


「あんたがユウキの言ってた後輩?」


「はい。黒澤紫苑です。」


「ふ~ん。」


こっちに近づいてきて、至近距離であたしを見る。


この人、一体何なの!?


< 33 / 109 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop