花言葉を君に。
「ユウキ先輩、彼女って…」
「あ、いや、違うって。イズミが勘違いしてるだけだから!」
「え?紫苑ってユウキの彼女じゃないの?」
「ち、ち、違います!!やめてください、そういうこと言うの!」
…ユウキ先輩の彼女希望ではありますが。
そんなふうにいろいろ言い争って、とりあえずイズミ先輩とも番号交換して、家に帰る。
一気に現実に引き戻される。
「ただいまー。」
「おかえりなさい、紫苑ちゃん。」
あたしを出迎えてくれたのは、美智さん。
「…何かいい匂いしてる。」
ぼそっと呟くと、ニコニコ笑ってテーブルと指差した。
見ると、シフォンケーキ1ホールがあった。
「暇だったから作ってみたの。食べない?」
こうやって美智さんと話すのは、久しぶりだった。
あれからずっと、できるだけ避けてきたから。
でも…
「紅茶、淹れますから。」
それだけ言って、キッチンで紅茶を淹れた。
美智さんはフォークとか、お皿とかを準備して笑ってた。
これで良かったのかな?
…本当の家族になんてなれるわけがない。
だったら、それでもいいから、近づけるだけ近づいてみよう、だなんて。
そんなふうに少しだけ思い始めたあたしに、美智さんは気づいてるのかもしれない。