花言葉を君に。


「あっ、別に何も聞こえてないから…。」


顔を赤く染めて、手を横に振った。


優しすぎますよ、ユウキ先輩っ…!


けどその優しさを踏みにじるような、イズミ先輩の言葉が続く。


「へーそうか。紫苑はBカップかー。」


「「……」」


つかの間の沈黙。


「ば、ば、バカーっ!!!」


裏庭に、滅多にないあたしの叫び声と、イズミ先輩の頬を平手打ちする音が響いた。


…数分後、あたしは涙をこらえてた。


そんなあたしの頭を優しくなでるのは、ユウキ先輩。


イズミ先輩はあたしに叩かれた左頬を押さえている。


「痛ぇ…。」


「自業自得だろイズミ。ね、紫苑ちゃん。」


「はい。イズミ先輩が悪いです。」


睨みつけたら、笑われた。


「だって紫苑がBカップだって自分で言ったんだろー?」


「もう何回も繰り返さないでくださいっ!」


「ほら、イズミ!もういい加減にしろ。」


ユウキ先輩、ずっとあたしの頭撫ででくれてる…。


嬉しくて、イズミ先輩のことがどうでもよくなるくらいに、幸せだった。


そしてちょうど予鈴が鳴った。


「よし、もう大丈夫。俺なにも聞いてないから。ね?」


かっこよすぎるっ。


黙って頷いて、教室に帰ってまた思い出す。


ユウキ先輩とイズミ先輩の差。

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