花言葉を君に。
「どこ行くの?」
学校からだいぶ離れた頃、思い切って聞いてみた。
結構話したので、タメには慣れた。
「んー特に決まってない。俺は紫苑と話がしたかっただけだから。」
「そうなんだ…。どんな話するつもり?」
「あのさ、ずっと思ってたことがあるんだけど。」
急に声が沈んで、あたしの手を握る力が強くなった。
「え?」
「まぁ、とりあえずどっかに座ろ。」
イズミ先輩はそう言って笑ったけれど、どことなく悲しい笑顔だった。
そして近くの小さな公園のベンチに座った。
遊具では近所の子供と思われる子が、楽しそうに遊んでいる。
そんな姿を見ながら、沈んで行く夕陽を見つめていた。
「綺麗…。」
呟いたその声が聞こえたらしく、イズミ先輩が笑った。
「綺麗だな。」
そして二人で黙って、西の空を見ていた。
しばらくして、あたしが切り出す。
「そういえば先輩。話があるんだよね?」
「あぁ。こういうこと言っちゃいけないってわかってるんだけど。初めて会ったときからずっと…」
真剣な目であたしを見つめるイズミ先輩に、不覚にもドキッとしてしまった。
「俺、ずっと思ってたんだ。…何で紫苑は笑わないんだろうって。」