花言葉を君に。

「え…?」


「お前、いつも悲しそうな目してるだろ。」


突然の核心を突かれた言葉が、胸に刺さる。


「わ、笑ってるよ…?ほら、今も」


「だから、目だよ。紫苑は目が笑ってない。」


鼓動がどんどん早くなる。


どうして、どうして気づくの?


ずっと誰も気づかないって思ってた。


だから、こうして嘘の自分で笑ってきたの。


なのに、どうして今さら…


「…何で?何で笑わないんだよ?」


強い眼差し。目を合わせられなくなるくらいに。


違う。笑わないんじゃない。


「違う…。笑えないの!笑いたくても笑えないんです!ずっと昔から、あたしが黒澤紫苑として生きる前から、笑えない…。」


無理に笑うのをやめて、あたしは泣いてた。


「どういうこと?」


いつもに増して優しいイズミ先輩の声がして、あたしは胸の内を吐露した。


「これはユウキ先輩にも話したことないんだけど…。あたし、12年前に生き別れお兄ちゃんがいて、ずっと逢いたくて…。あたしを引き取ってくれた親戚の人にも見放されて、それであたしっ…。」


自分でも何を言いたいのか、何を言っているのか、わからない。


それでも、黙って聞いてくれているイズミ先輩の優しさに甘えていた。


「辛い…だろ?誰よりも紫苑が…。」


あたしの頭にポンっと乗せられた大きな手が、あたしに向けられた真剣な眼差しが、心を溶かしていく…。



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