花言葉を君に。
―――それから何が変化したのだろう?
あたしの中のイズミ先輩という存在が変わった?
もう何も考えたくない…。
息ができなくなるくらい走って、走って、家に帰る。
「おかえりなさい。」
いつものようにおかえりって言ってくれる美智さんを、初めて無視した。
何も言わずに階段を駆け上がって、自分の部屋へと向かう。
ドアに鍵を掛けて、足の力が抜けて、崩れ落ちた。
窓から見えるのは完全に日が落ちて、暗い空。
さっき見た、イズミ先輩と二人で見た空は、あんなに綺麗だったのに…。
涙が頬を伝う。
思い返すと、イズミ先輩と過ごした日々はあまりにも短すぎて。
あたしは何も知らないんだ。
イズミ先輩のこと。
初めて会ったとき、軽い人だなんて決めつけてたけど、優しい人だった。
友達ができたことないから、ふざけて言い争ったりして、友達ってこんな感じなのかなぁって考えたりもして…。
それでさっき、核心を突かれたときに知った。
イズミ先輩は本当はすごく優しくて、人をちゃんと見てるってこと。
あたしは…太陽みたいに笑えないよ…。
「…っ…楓にぃにっ…」
また負のループみたいに、考えるの。
もしも楓にぃにがいたら、って。