花言葉を君に。
ユウキ先輩…。
連続で電話してくるなんて、絶対に二人は一緒にいる。
わかってる。
もしも電話に出たら、向こうはイズミ先輩が出るかもしれない。
わかってるの、でも。
そっと通話ボタンを押した。
「…紫苑ちゃん?」
あぁ。いつもの優しいユウキ先輩の声だ。
「ユウキ先輩…あたし、」
「ん。大丈夫わかってる。でも、ちゃんと答えてやって?あいつも真剣みたいだから…」
やっぱり知ってるよね。
どうしてユウキ先輩の“大丈夫”はこんなに安心できるのかな?
何でだろう。
今まで泣いて、泣いて苦しかったのに、こんなにも心があたたかくなる。
ひとりじゃないのかな?
あたしは、ユウキ先輩に頼っていいのかな?
そう思えてしまうくらいに、ユウキ先輩を信頼して…
…ううん、そうじゃない。
答えはもう暗闇の中にも、霧の中にもない。
きっと目の前にある。あたしの本当の気持ちは。
「…先輩、あたし怖かったんです。でも、先輩の声聴いたら何か安心しました。ありがとうございます。」
「うん。明日、学校で待ってるよ。」
「あ、あのっ!」
「ん?」
「あ、あの…明日の放課後、イズミ先輩と話し終わったらすぐに花壇の前に行きます。そこで待っててもらえませんかっ?!」
全身が心臓になったみたいに、ドキドキしてる。
「…うん。わかったよ。じゃあ、また明日。」
「はいっ。」
明日…ユウキ先輩に伝えたいことがあります。
あたし、ユウキ先輩にちゃんと伝えます。
「好きです」って…