花言葉を君に。
半日ぶりくらいに、自分の部屋から出た。
「あの、美智さん。」
リビングで美智さんの姿を探すけれど、返事がない。
「…美智さん?」
見渡す限り、どこにもいない。
変だな。
そう思ったとき、どこからともなく聞こえてきた水の音。
お風呂掃除でもしてるのか。
お風呂場へ行って、声をかける。
「美智さん。」
やっぱり返事はない。
まさか。
ドアを開けると、シャワーヘッドから水が出しっぱなしで、美智さんがずぶ濡れで倒れていた。
「美智さんっ?!」
急いで水を止めて、濡れた体を抱き起こす。
真っ青な肌。紫色の唇。それに不整脈。
救急車、呼ばなきゃ…
そう思うのに、体が動かない。
美智さんが目の前で弱っていくのに、なのにあたしは、動けない。
「紫苑ちゃ…」
かすかに目を覚ました美智さんがあたしの名前を呼ぶ。
いつか…随分前に、こんなシチュエーションがあったような…
そんなことより、救急車を呼ばないと。
震える手を懸命に動かして、救急車を呼んだ。