花言葉を君に。
美智さんの冷えた体をタオルでくるんで、救急車を待った。
あたし、もっと早く気づけたのに。
自分のことに精一杯で、美智さんのことも、イズミ先輩のことも、ユウキ先輩のことも見えてなかった。
そのせいで美智さんに、もし…もしも何かあったら…
「美智さん、ごめんなさいっ。」
返事はない。
嫌だ。
早く来て。早く誰でもいいから、美智さんを助けて。
もしもここで、美智さんと二度と会えなくなったら、後悔する。
今までの全てを後悔する。
どうしてもっと美智さんと…って、思うから、だから。
パパ・ママ・楓にぃに、まだ連れていかないで…
冷たい手を強く握る。
そのとき、ずっと昔の記憶がふと蘇った。
あのとき、ママが倒れたとき。
あのときもあたし、ママと喧嘩してた。
楓にぃにと遊んでて、それですぐに気付けなくて、対応できなくて。
さっきのは、きっとそのときのデジャヴだ。
また、同じ誤ちを繰り返すの?
嫌だ。絶対に嫌だ。
あたしは変わるの。
ううん。もう変わったの。
だから、絶対に美智さんを助けるから。
そのときちょうど救急車が到着した。