花言葉を君に。
一瞬時が止まったような気がした。
あたし、とんでもないこと言ってる。
わかってる。
でも、止められなかった。
「…もう、そのつもりだったよ。僕はね。」
尚紀さんが言う。
「え?」
「ええ。今までも、これからも本当の家族よ。ずっと。」
美智さんも笑う。
あぁ。
あたしは今、初めて黒澤紫苑になったんだ。
ずっと大和紫苑のまま止まったあたしが、やっと二人の娘になれた。
…ママ、パパ、楓にぃに…あたしに居場所ができた。
もう一度心から笑えるような気がするの。
だから、もう少しだけ待っててね。
…楓にぃにに逢えるまで、せめてそれまでココにいさせて?
「あたし、美智さんと尚紀さんの娘になれて良かったです。ありがとう。」
涙が零れたけれど、それはもう悲しみの涙じゃない。
温かい涙…。
あたしたちの心のわだかまりを溶かしていく涙。
もう、大丈夫。
あたし、頑張るから…。