花言葉を君に。


「何で・・・」


驚きを隠せないイズミ先輩に対し、あくまでも冷静に、にこやかに彼女は言う。


「来年度から復帰することになって。それで母校を。」


「あ、来年度からですか。・・・大丈夫なんですか?」


「もうフル回復よ。2年も休んでちゃ、母として情けない・・・ってこの話はNGかしら?」


「あっ、いや、俺は平気なんですけど。」


・・・復帰?母?NGな話?


わからない。状況が読み込めない。


突っ立ったままどうすることもできないあたしに、やっと気づいたのか、目があった。


「あ、ごめんなさい。お話中だったみたいね。」


「いえ。あの・・・?」


「初めまして。凛堂 遥(リンドウ ハルカ)です。」


凛堂 遥さん━━━━


すごく見とれてしまうほど綺麗な人で、大人っぽくて。


「初めまして。1年の黒澤 紫苑です。」


「紫苑ちゃん・・・?お花の?」


思いもよらなかった質問に、驚いてしまった。


「はい。」


「シオンの花言葉は“追憶”“思い出”…。素敵な花よね。私、大好きなの。」


その言葉を聞いて、何かがひっかかった。


この台詞、前にも聞いたこと…


「遥さん━━━━?」


どこからともなく聞こえた声が、あたしにその謎の答えを教えてくれた。


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