花言葉を君に。


「ユウキ先輩・・・?」


「ごめん。彼女なんて嘘ついて。」


「いや、そうじゃなくて・・・なんで泣いてるんですか?」


「・・・弱いんだ。俺は本当に弱い人間なんだ。・・・笑えないんだよ、もう。」


そう悔しそうに、そして切なそうに笑うユウキ先輩が、少し前の自分と重なった。


強くなるしか、なかった。


無理に笑うしか、なかった。


そんな自分に似てる、大好きな先輩。


あたしは衝動的に、ユウキ先輩を抱きしめてた。


「弱くてもいいんです!無理に笑う必要もありません!ユウキ先輩は、ユウキ先輩のままで、それでいいんですよ?」


「・・・っ」


堪えきれない嗚咽が、形となって溢れていた。


それはあたしの手に落ちて、すぅっと消える。


それは何粒も煌めいて、落ちて、消える。


まるで流れ星のように。


「・・・紫苑ちゃん、俺、本当は・・・」


「?」


言いかけて、口ごもったユウキ先輩。


「やっぱ、なんでもない。ありがとね。」


あたしの頭を撫でて、ゆっくりと体を離した。


・・・いつか、話してください。


それまで、あたしはこの恋を秘めます。


いつか、ユウキ先輩にちゃんと話せるようになるまで。


< 61 / 109 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop