花言葉を君に。
「嘘・・・イズミ先輩がそんなことするわけない!」
チャラそうに見えるけど、本当はすごく優しい人だもん。
「私だって聞いた話だから。でも、2年前、凛堂先生が園芸部の顧問で」
「もう聞きたくない。ごめん、自分勝手だけどイズミ先輩のこと信じてるから。だから・・・」
続く言葉は出てこない。
イズミ先輩が、先生を妊娠なんて、ありえない。
・・・って思いたいけど、思えない自分がいる。
だって、みんな何か隠してるから。
きっとイズミ先輩も、凛堂さんも、ユウキ先輩だって。
2年前に、何かあった。
それだけは確かなことだ。
「・・・ごめん、紫苑。事実は本人だけが知ってることだよね。」
「うん。こっちこそごめん。」
「じゃあね。」
電話を切ったあと、明梨に当たっちゃったと後悔した。
・・・聞けるかな。
もう気になって、気になって仕方ないよ。
本当は、何も知らないの。
ただ一緒にいるから、なんとなく知ってる気でいたけど、クラスもフルネームも、好きな食べ物も、何も知らない。
・・・知りたいけど、少し怖いから。
あたしは人と上手く接することが出来ないんだと思う。
変わりたいけど、怖いんだ。