花言葉を君に。
6章 キブシとユウガオ
それから3日後。
放課後、花壇へ向かう。いつものあたし。
あの日以来、二人の姿を見ていない。
部活には来てるみたいだけど、会えない。
いつも花壇に残された“そこにいた証”、水やりの跡とか、雑草むしりの跡とかを見るだけ。
それを見ると、胸が苦しくなる。
今日は会えるかな。
期待していると、花壇の前に人影があった。
でも、それは二人ではないとすぐに気がつく。
「・・・凛堂さん?」
あたしがその名前を呼ぶと、振り返って小さく微笑んだ。
「“紫苑”ちゃんだ♪」
「なんでココに・・・」
「んー?やっぱりココが一番私で入れる場所だから、かな。この花壇は私が咲く場所。私の唯一の居場所。」
・・・ユウキ先輩・・・。
ふいにユウキ先輩のことを思い出した。
初めて出会ったあの日、同じようなことを言ってた。
あの優しい笑顔がもう一度、見たい。
そう、切実に願う。
「紫苑ちゃんは、どうして園芸部なの?」
唐突なその質問に、自問自答してしまった。
・・・あたしはなんで園芸部なんだろう?