花言葉を君に。


花が好きだから。


友達がいないから。


自分の居場所だから。


あたしが“紫苑”でいられるから。


・・・楓にぃにとママのことを思い出せるから?


「・・・わからないです。昔からひとりで世話することで時間潰してました。でもあたし、お花が好きなんです。それに、花を見てると大切な人を思い出せて。」


「素敵ね。さすが“紫苑”ちゃんだけあるわね。って、馴れ馴れしいかな?」


「いえ!あたしも大好きです、この名前。シオンの花。」


「誕生日は、9月28日。」


誕生日まで探る?と思ったけれど、正解だったので素直に答える。


「はい。確かその日の誕生花がシオンですよね。」


「ええ。素敵ね。花の名前を子供につけるって、勇気が要るけどその花が一生守ってくれるような気がするもの、きっと素敵なご両親だったんでしょうね。」


凛堂さんは常に微笑んでいて、清々しい大人で。


この人がもし、イズミ先輩の好きになった人ならいいなって思えた。


「ひとつだけ聞いてもいいですか?」


「いいわよ。」


「凛堂さんのお子さん・・・イズミ先輩の子供なんですかっ・・・?」


沈黙が続く。


違うって言って欲しい。それだけを願った。


凛堂さんはひとつ小さなため息をこぼしたあと、呟いた。


「違うよ。あの子、エリカはイズミくんの子供じゃないわ。」



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