花言葉を君に。



「あーあ絶対言わないつもりだったのにな。」


静寂のあとに聞こえた声。


「え?」


「遥さん、なんで言うかな。本当にダメな人。」


え?え?どういうこと?


パニクって声が出ないあたしの顔を見て、フッと笑うと優しい声でこう言った。


「・・・紫苑。俺がお前の兄ちゃんだよ。」


アタシノオニイチャン━━━━


ずっとそばにいるって、守ってくれるって約束したのに。


なのに、離れてしまった楓にぃに。


ずっと会いたくて、会えなくて、苦しくて。


ずっと楓にぃにのことを想ってた。


あたしはずっと楓にぃにのことが大好きだから・・・。


気づくと涙がこぼれてた。


止めどなく溢れる涙。堪えきれない嗚咽。


刹那、あたしを和泉先輩が抱きしめた。


優しくて包むような暖かさの中であたしは号泣した。


こんな涙どこから溢れてくるんだろう?っていうくらいに。


「ごめん、絶対泣くと思ったからさ。」


「でもっ、言ってくれたら、もっと早く知ってたら・・・」


「ごめん。ほんとにごめんな、紫苑。」


笑いながら、あたしの頭を撫でた優しいその手が、お兄ちゃんの手。


こんなに近くにいたのに、どうしてもっと早く気付けなかったの?


でも、もういいや。


今、大好きな楓にぃにのそばにいれるから。

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