花言葉を君に。
その日はあたしが朝の水やりの当番で、いつもよりも少し早く登校した。
大好きな曲を鼻歌で歌いながら、大好きなお花たちに水をやる。
「あーあ。もう少しで全部枯れちゃうね、君たち。」
もう秋も深まって、そろそろ冬が来る。
あたしももう、16歳になっていた。
9月28日。あたしの誕生日。誕生花はシオン。
楓にぃにの誕生日はいつだっけ?
「紫苑ちゃん。おはよ。」
いつものあの優しい声がして、振り向くといつもの優しい笑顔のユウキ先輩が立っていた。
「おはようございます。」
「なんかいいことあった?いつもより明るいね。」
「あ、実は・・・和泉先輩がお兄ちゃんだったんです!」
「え━━━━」
「あたし、生き別れたお兄ちゃんを探してて、それが和泉先輩で。もう全然気がつかなかったんですけど、やっと会えたんです!」
ユウキ先輩は顔を真っ青にして、唇をわななかせた。
「え?それは」
「もう会えないと思ってたから、嬉しくて・・・。」
・・・あたしはバカだった。
自分のこの嬉しいという思いを、大好きなユウキ先輩に伝えたかった。
それしか考えられなくて、ユウキ先輩のことを思えなくて。
結果、ユウキ先輩に笑顔をつくらせてしまったんだ。
「そっか・・・よかったね。」
「はい!」