花言葉を君に。
「お、二人共ここだったのかよ。」
和泉先輩が校舎の影から現れて、一瞬ドキっとする。
この先輩はただの部活の先輩じゃない。
あたしのお兄ちゃんなんだ、という思いが体中を駆け巡る。
「おはよ、和泉。」
「おはようございます。」
「あー紫苑。さっき担任がお前のこと探してたぞ。」
「あ、ありがとうございます。じゃあお先に失礼します。」
急がなくちゃ、と二人の間を抜けていくと、
「・・・紫苑ちゃん!・・・放課後ね。」
とユウキ先輩が優しく笑った。
頷きで返事を返して、走っていく。
そのあと、二人に何があったのか、見ていたのは花壇に咲く散りそうな花たちだけだった。