花言葉を君に。


「あの、和泉先輩。きいてもらってもいいですか?なんで凛堂さんと会ってないのか。」


「・・・」


「だって、メールが来たんです。凛堂さん宛てのメールが間違って。そこに会いたいって書いてて。まだ好きだって書いてて。あたしわけわかんなくなって・・・。思ってもないことメールして、ひとりで泣いて。・・・バカですよね。」


「・・・ごめん。」


ひとりでペラペラと喋って、一言返ってきた声。


それは和泉先輩じゃなくて、ユウキ先輩の声だった。


「ゆ、ゆ、ユウキ先輩!?」


「ホントごめん・・・。そうだよね、わかってたけど紫苑ちゃんの強さと優しさに甘えてた。泣かせてごめん。」


その声は涙声だった。


「先輩、泣いてるんですか?」


「あはは。紫苑ちゃんはすごいね。・・・さっきね、フラれちゃったんだ。」


あっさりと笑ってみせた、その声が寂しそうで。


「遥さんはもう無理なんだよ、わかってたけどね。そのせいでごめんね。もう紫苑ちゃんのこと泣かせたりしないから。約束するよ。」


その声が優しくて、今すぐ会いたくなった。


会って、抱きしめてほしかった。抱きしめてあげたかった。


ユウキ先輩の体温を感じて、一緒に泣きたかった。


でも、それはできない。


今は笑わなくちゃいけない。無理してでも大丈夫って言わなくちゃいけない。


「こっちこそごめんなさい。でももう大丈夫です!」


守ることのできない約束は、もうしないことにきめてあるから。


きっと泣いちゃうから、約束はできない。


「・・・明日、会えるよね。」


「はい!」


「おやすみ。」


「おやすみなさい。」


これでいいんだ。


これで、あたしはユウキ先輩を好きでいられる。



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