花言葉を君に。
次の日、あたしはいつもより早く登校した。
早くユウキ先輩と和泉先輩に会いたかったから。
裏庭へ向かうと、すでに人がひとり、立っていた。
もう、後ろ姿でわかってしまう自分が怖い。
恐る恐る声をかけた。
「・・・凛堂さん・・・。」
凛堂さんは振り向くと、小さく笑った。
「紫苑ちゃんって、不思議な人ね。今、会いたいって思ってたから。」
「ユウキ先輩を待ってたんですよね。」
凛堂さんの小さな嘘。すぐにバレるようなわかりきった嘘なのに、どこか重たい。
「なーんだ、もう知ってるのね。私が昨日ユウキくんと会ってたこととか。」
さらっと言って、笑う姿に無性に腹が立った。
「どうして笑えるんですか?ユウキ先輩昨日泣いてたんですよ。」
「そんなのユウキくんの勝手でしょう?私はもっと泣かされたんだよ。」
「そんなの知りません。」
「紫苑ちゃん。私とユウキくんと和泉くんの秘密教えてあげようか。」
突然切り出されたその話題は、あたしが気になっていた話で。
心が揺らいだ。3人の秘密が知りたい。
あたしが答えないで黙っていると、いきなり凛堂さんが話しだした。
「秘密その1。2年前私は二人のどちらかと付き合って、妊娠した。」
その秘密は、本当に秘密だった。
「秘密その2。そのとき他校生だったユウキくんの罪をかぶったのは、親友の和泉くん。それに伴い園芸部は廃部した。」
初めて聞かされるその事実に、声が出なかった。