花言葉を君に。
7章 ウィンターコスモス
ふと空を仰ぐと、枯れ葉が舞った。
風が冷たくて、思わず身震いする。
もうすぐ雪が降る。
そろそろ園芸部も活動しなくなる。
そうなったら、あたしは会えなくなる。
大好きなユウキ先輩に。
「紫苑。」
声をかけられて肩に手を置かれた。
振り向くと、和泉先輩が寒そうに笑った。
「和泉先輩。」
「お待たせ。行こ。」
まるで恋人同士のように手を繋いで歩いていくあたしたち。
でも、違う。
あたしたちはただの兄妹なんだ。
あれから疑念を抱いたまま時は過ぎ、11月になった。
あたしはよく出かけるようになった。
友達とじゃなくて、大好きな楓にぃに・・・和泉先輩と。
まだなんとなく慣れなくて、和泉先輩としか呼べないけれど、いつか必ず楓にぃにって呼ぶんだ。
本当の兄妹になれるかな?
今まで別々に過ごしてきた時間を埋めるように、毎日を過ごすあたしたち。
それはどことなく、ぎこちない。
それでもいい。
嘘でもいいんだ。カタチだけの兄妹でもいい。
楓にぃにがそばにいてくれるなら、もういい・・・。