花言葉を君に。


凛堂さんは、学校に来なくなった。


そして誰も凛堂さんの話をしなくなった。


まるでいなかった人のように、あたしたちの会話から姿を消した。


今、どこにいるのだろう?


正直気になってる。


だって、ユウキ先輩の愛した人だから。


ユウキ先輩はフラレたって言ってるけど、信じられない。


信じたくない。


ユウキ先輩には幸せでいてほしいから。


たとえ、あたしの恋が叶わなくても。


いつか、って信じてるから。


いつかユウキ先輩の隣を歩ける日が来るって・・・。


「紫苑?」


「ん?なに?」


「いや、ぼけーっとしてるから。大丈夫か?」


「うん。あ、ねぇ今日は買い物行くんですよね?なんか夢みたいだなぁ。お兄ちゃんと買い物とか、普通の兄妹っぽくないですか?」


「・・・普通の兄妹だよ。」


膨れた頬が赤く染まった。


「そうですね。」


今は、兄妹だから。


あたしは和泉先輩のことが大好きだ。


お兄ちゃんとしても、先輩としても。


今は心からそう言える。


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