花言葉を君に。


「ほら、恵梨香。二人にありがとーは?」


「あいがとー!」


か、可愛いっ!


「本当にありがとう。じゃあ、二人はデートの続きして?」


「で、デートじゃないです!あたしたち兄妹ですから。」


「兄妹・・・?」


「はい。」


「え?でもだって」


「遥さん。もうそろそろ映画始まりますよ。」


凛堂さんの言葉を止めたのは、今まで一言も話さなかったユウキ先輩だった。


ユウキ先輩。


どうして凛堂さんと一緒にいるんですか?


聞きたいけど、聞けない。


今日のユウキ先輩はどことなくいつもと違ってた。


目が冷たかった。


「あ、ホントだ。ありがとね、バイバイ。」


凛堂さんと恵梨香ちゃんとユウキ先輩。


まるで家族みたい、だなんて考えてしまった。


「紫苑。俺らも行こ。」


妙に優しいその声が、嘘だなんて信じられなくて。


「うん。」


手を繋ぎ直して、歩くしかなかったの。


そのとき聞こえてしまった声。


「ぱぱー!」


「ん?どうした?」


恵梨香ちゃんが、ユウキ先輩を“ぱぱ”って呼ぶ声を聞いて、頭が真っ白になって。


そのあと、どうやって過ごしたのかよく覚えていない。


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