花言葉を君に。


「紫苑ちゃん!遅刻するわよ。」


美智さんの声で、目が覚めた朝。


ウッドカーテンの隙間から、太陽の光が溢れている。


あたし、死んだんじゃないの?まだ生きなくちゃいけないの?


「・・・紫苑ちゃん?」


あたしは美智さんに抱きついた。


「どうしたの?悲しい夢でも見た?」


夢・・・?あれはいつもの夢なの?


やっと、この世界から開放されると思った。


もう、辛い想いをしなくていいはずだった。


けど、それはやっぱり夢でしかないの?


美智さんがあたしの背中を優しく撫でて、あたしの気持ちがほどけていく。


「・・・っ美智さんっ・・・!!」


溢れ出した涙が、止まらない。


声を出して泣いた。この間、ユウキ先輩のメールのときみたいに。


「大丈夫よ。大丈夫。」


美智さんは微笑んで、ただあたしの背中を撫で続けた。


そのうち、泣き声を聞きつけて尚紀さんも来た。


「どうした?紫苑ちゃん?」


あたしはこの世界でひとり。


でも、いまここに美智さんも、尚紀さんもいる。


・・・ひとりじゃないんだ。


━━━━これが、あたしの求めていた家族の優しさだと、改めて知った。


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