花言葉を君に。


ちょうど4時に公園に着いた。


ベンチに腰を下ろすと、空を仰いだ。


空はうっすらと青く暗く、日は沈んでいた。


懐かしいな・・・


ふと、あの日のことを思い出していた。


和泉先輩に笑ってないことがバレた日。


和泉先輩に泣きながら楓にぃにのことを話した日。


和泉先輩に告白されて、逃げ帰った日。


あたし、和泉先輩のことが好きだった。


普通に、男の人として。


でも、それはきっと恋じゃなかった・・・


お兄ちゃんだから、好きだったんだ。


でも、ユウキ先輩は違う。


本当に、本気でユウキ先輩に恋をした。


諦めなくちゃいけない、なのに諦められない。


あたしは弱くて、不器用で、情けなくて、最低で。


伝えちゃいけないのに、伝えたくなって。ひとりで我慢して泣く。


もう、辛いよ。


少し前のあたしなら、すぐに楓にぃにに頼ってた。


だって、すぐそこにいなかったから。


でも、今は違う。


手を伸ばせば届いてしまうから、だから泣きつくことさえも出来ない。


ずっと会いたかった。あの約束を信じていた。


だから怖い。


楓にぃにに手が届くことが、本当は怖くて仕方なかった。

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