花言葉を君に。
8章 ショウブ
「・・・わかってた・・・」
それは、あたしが喉の奥からこぼした、唯一の言葉だった。
伝えたい言葉が溢れるのに、本当にカタチとなるのは、涙だけ。
一番星がぼやけた。下弦の月が揺れた。
「だよな。ごめん。」
怒鳴り散らして、ぶん殴ってやりたい気持ちもある。
逆に、抱きしめて温もりを確かめて、笑ってしまいたい気持ちもある。
本当のあたしはどっちなのだろう?
「今日はそれを言いに来たんだ。あ、あと俺の口から伝えたかった秘密も。」
秘密?
「この前会った遥さんの子供、恵梨香の父親はユウキだよ。」
あぁ、そんなこともあったね。
「アイツは2年前、先生だった遥さんと罪を犯した。そんなふうになったのは、俺のせいもあるんだ。他校生だったユウキを学校に呼んで、一緒に園芸部の活動をしてた。3人で。」
「え・・・?」
「俺、1年生のとき園芸部で。顧問が遥さんだったんだよ。」
「!!」
じゃあ、まさか園芸部が廃部になった原因は。
「そんなとき、遥さんが妊娠して。休暇とるだろ?そのときに理由付けされたのが、俺ってわけ。まぁ、校長も他校生のユウキより、バカな1年生の不祥事で終わらせたかったんだろうけどさ。」
乾いた笑い声が響く。
あぁ、なんて切ない真実なんだろう?
和泉先輩は、罪を擦り付けられてどんなふうに泣いたのだろう?