花言葉を君に。


「紫苑。」


「だって、和泉先輩は楓にぃにで、って違うんだ。でも、凛堂さんのこと」


「遥さんのことは、もうとっくに諦めついてる。前にも言ったけど、紫苑のこと本気で好きなんだ。」


そうだ。前にも和泉先輩は好きだって言ってくれたんだ。


そのとき答えないで逃げちゃったんだよね。


「今、フラれるのわかってて告白したぞ。怖いとかどうでもいいから、伝えたいから言った。だからお前も行けよ。」


先輩・・・


「もしフラレたら、俺が慰めてやるからさ。」


いつもどおりの太陽みたいな笑顔。


いつもどおりの和泉先輩。


だって、フラれるってわかってたのに。


なのに、こうして笑っていられるの?


和泉先輩は強いから。


・・・あたしもその強さがほしい。


強くなりたい。


偽りの自分で笑うのは、もう終わりにしたい。


好きなものは好きって言えるようになりたい。


「花壇の前にいるよ。ほら。」


トンッとあたしの背中を押す。


このまま、ユウキ先輩に会いにいく。


怖いけど、すごく怖いけど和泉先輩が支えててくれるなら。


あたし、頑張れる気がするよ。


あたしは和泉先輩の笑顔を噛み締めて、学校へ走り出した。


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