花言葉を君に。


走って。走って。


花壇の前で止まる。そしてゆっくりと歩き出す。


ふと、あの日がフラッシュバックした。


ユウキ先輩と初めて会った日。


この角を曲がると、人影が見えて。


その人はこう言ったんだ。


「君がこの子たちを世話してるの?」


あたしがはい、って言ったら、その人は微笑んだんだ。


優しい、笑顔だった━━━━


「ユウキ先輩。」


「え?あれ、紫苑ちゃん?和泉が来るって言ってたんだけど・・・」


「あ、あの!あの・・・あたし・・・」


“頑張れ。”


和泉先輩が笑ってる。


あたし、頑張る。


今まで逃げてただけなんだ。好きだけど、好きだから傷つくのが怖くて、逃げてた。


自分からも、和泉先輩からも、ユウキ先輩からも。


でも、伝えたい。


ユウキ先輩のことが好きだから、大好きだから。


たとえ、フラれるってわかってても、それでもいい。


この気持ちを伝えたい。


それだけなんだ。


「ユウキ先輩。あたし・・・ずっと前からユウキ先輩のことが好きです。」


< 96 / 109 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop