花言葉を君に。
怖くて目を閉じた。
目の前にいるユウキ先輩を直視できなかった。
なんか、言って?
でもユウキ先輩は何も言ってくれないので、あたしが喋る。
「初めて会ったときから気になってて・・・園芸部を一緒にやってて、好きになって・・・。わかってます!ユウキ先輩は凛堂さんのことを好きだって。2年前のことも聞きました。それでも伝えたくて」
「紫苑ちゃん。」
いつもよりも、少し強い声で呼ばれたので驚いて目を開ける。
「・・・ごめん。」
そう一言だけ言って、俯いた。
その姿を見ていられなくて、あたしは背を向けた。
あ、やばい。泣きそう。
もう、いいや。
ユウキ先輩はちゃんとごめんって言ってくれた。
だから、もう帰ろう。
「ごめんなさい。もう、帰りま」
振り向かないままで、言った言葉は途中で消えた。
だって・・・ユウキ先輩があたしを後ろから抱きしめたから・・・
「!?」
「ごめん、ホントにごめんね・・・」
弱々しい言葉とは裏腹に、強くあたしを抱きしめる。
寒い秋空の下でふたり、互の熱を感じ合っていた。
「・・・紫苑。」
突然呼ばれた名前は、いつもとは違う呼び方で。
声を聞いた刹那、あたしの身体の、心の奥底で、何かが震え目覚めた。