花言葉を君に。
「俺ね、前にも言ったかもしれないけど、大切な人を探してたんだ。ずっと。」
あたしを後ろから抱きしめたまま、そう話し始めた。
「高校1年の夏、ネット上で和泉と出会って、たまたま高校が近かったからよく遊びに行ってた。そこである人に出会ったんだ。・・・先生になったばかりの遥さん。一目惚れしたよ。そこで俺は過ちを犯した・・・。」
初めて聞くことも、知ってたこともあるけれど、ちゃんとユウキ先輩の口から聞くと意味が違って聞こえる。
「でも償ってるつもりだよ。恵梨香の世話もしてるし。ただ・・・和泉も遥さんのことが好きだったのに、俺は罪を擦り付けた。それがいまでも後悔してる。そして3年の春・・・ある情報を頼りにココに転校したんだ。」
「・・・ある情報?」
「うん。俺の探してる人がこの春入学してきた、っていう。それですぐに来た。初日、2年前と同じように花壇の前に行ったんだ。もう、花は枯れて無惨な姿になってると思ってたらね、違った。ある人が世話をしてたんだ。」
もう、涙をこらえることはできなかった。
「その人と初めて会ったとき、本当に惚れたんだ。一目惚れした。笑顔が可愛くて、何より花の世話をしてて。・・・でもね。好きになっちゃいけない人だった。」
誰のことを話しているのか、すぐにわかった。
一目惚れ・・・?
じゃあ、ユウキ先輩とあたしは、最初は・・・
「名前を聞いて、その人が俺の探してる人だったから━━━━」
一段と締め付ける強さが増して、嗚咽が聞こえてきた。
あたしも、堪えきれない涙が溢れた。