花言葉を君に。


「・・・“偶然の出会い”。黄色のゼラニウムの花言葉。でも俺が君に出会ったのは、偶然じゃないよ、運命って本当にあるんだ、きっと。」


「うん。」


信じるよ。


あの日、あの場所で出会えたのは、あたしが願っていたから。


ずっと、会いたくて。


ずっと、探してた。


だから、出会えたの。きっとそうだよね?


「・・・紫苑。」


もう一度、名前を呼ぶ。


あぁ、どうして今まで気付かなかったんだろう?


ユウキ先輩の声が、あの夢の声と同じだって。


ユウキ先輩が、ママとあたしと一緒に写真に写ってる楓にぃににそっくりだって。


もう、呼んでもいい?


これは夢じゃない?


「・・・楓にぃに・・・っ!」


あたしがその名前を呼ぶと、ユウキ先輩が小さく笑った。


「卒業したら迎えにいくつもりだったのに・・・。まさか転校した初日に会うなんて、さすがだよね。」


「じゃあ、あの約束覚えてる?」


不安だった。


もし楓にぃにに会えたとしても、あの約束を覚えていなかったら、意味がない。


でも、ユウキ先輩はもちろんだよ、って笑って、


「これからはずっと紫苑のそばにいるから。何があっても紫苑を守るから。」


そう言ってくれた。


・・・そのときの楓にぃにの声を、温もりを、そのすべてを、一生忘れないだろう。


「あ、そういえば名前言ってなかったよね。初めまして、結城 楓です。」


和泉先輩同様、苗字だったユウキ。


でも、何も知らないおかげで、ユウキ先輩という人に恋ができた。


ユウキ先輩に、楓にぃにに、あたしをいう人を育ててもらったような気がするのは、気のせいじゃないよね・・・?


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