【続編】スパイシーな彼~彼女が生きた証愛した瞬間
部屋に戻ると、憲吾は先にあがってソファーに座り、パソコンを打っていた。


「パパが先だったんだ~」


「うん~温まるってきたかい~」


「うん~」


「晴香疲れただろう。世利と先に休んで、もう少しで仕事終わるから」


「うん…」


「ママ何か飲もうか~」


「そうね…」


いつもと変わらない世利の様子が不思議だった。


いや…憲吾が父親ではないことは、ずっと知っていたのだ。


体調を崩しがちだった晴香は、いつも憲吾に甘えてばかりで、世利の面倒を見てもらっていた。


そんな時に、お互いを他人と知りながら、相手を気づかいながら、生活してきたのだろう…


晴香と祐輝が選んだ罪作りな行動に、何も今日まで言うことなく、成長した世利…


自分の父親をどんな気持ちで見ていたのだろう…


静かに、瑞希との最後別れの朝は近づいていた。
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