【続編】スパイシーな彼~彼女が生きた証愛した瞬間
平凡な幸せ
瑞希が退院して、瑞希の希望で、瑞希の口から母親には本当のことを話した。

幼い頃の生い立ち、病と闘ってきた辛く寂しい毎日、祖母との別れ…そして祐輝との出会い…

祐輝の母は、涙を流しながら、瑞希の話を聞いた。

「瑞希ちゃん、大変だったんだね…祐輝はきっと幸せにしてくれるよ」

祐輝には信じられない光景を見ているようだった。

口うるさい母親から、まさかそんな言葉が出るなんて思ってもいなかったのだ。

瑞希といると、不思議と癒されて優しくなれる。

多分、瑞希の純粋に人を愛して、純粋に人を愛したいと思う気持ちが、相手を優しくさせるのだろう。

瑞希との新しい生活が始まった。

母親の愛情をあまり知らない瑞希にとって、祐輝の母に甘えられることが、とても嬉しいくて…

祐輝の母も、素直な瑞希を我が子のように可愛がっている。

祐輝が望んでいた、穏やかな結婚生活。

平凡な幸せだけど、瑞希が元気で、いつまでも自分の隣で笑っていてくれる。

そんな未来を予想しながら、瑞希と触れあって、優しくなれる自分に驚きながら、ゆっくりと時は流れていた。
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