【続編】スパイシーな彼~彼女が生きた証愛した瞬間
御焼香をするのに、前の席の人から順に進んでいく。


憲吾は世利に


「パパ、ママと同じにしたらいいからね」


と優しく言った。


憲吾が御焼香を済ませて、祐輝の前に立つと、なきはらして疲れた顔を上げて、驚いた顔で一礼をした。


憲吾は声をかけるべきか迷ったが、黙って頭を下げると、少し離れて2人を待った。


晴香は泣きながら世利が御焼香を済ませるのを待つと、祐輝の前に立った。


「祐輝…大丈夫?」


「来てくれたんだね…ありがとう…もしかして世利?」


世利は軽く一礼した。


祐輝の瞳から、大粒の涙がこぼれた。


「世利ちゃん、ありがとう…大きくなったね…」


「とりあえず、まだ会場にいるから、後でね…」


「憲吾君、ありがとう」


祐輝は悲しみの中で、ほんの一瞬笑顔を見せた。
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