最後の恋―番外編―

お姉ちゃんみたいにかっこよく綺麗に見られたいと思っていたのに。よりによって学に出鼻を挫かれてしまったから、取り繕う方が変に思える。

……きっとそれも学の思惑通りなんだろう。


「なんだか学が美月ちゃんにベタ惚れみたいね」

「えっ!? 違います! 学じゃなくて私がです!」


ふふ、とからかうような志保さんの言葉をつい力いっぱい否定してしまった。驚いてきょとんとする3人の視線を受けて、「……いや、あの」ともごもごしてしまう。


今の言葉に嘘はないけれど、これは全力で恥ずかしい。


覚さんと志保さんを前に、声高に学が好きだと宣言したも同然なんだから。


初対面なのに、こんなことを宣言しまうだなんて。今すぐに自分が埋まる穴を掘りに行きたい気分だ。

これ以上3人に見られるのが恥ずかしくて、両手で顔を覆ってそのまま自分の膝に顔をうずめた。

私の頭をぐしゃぐしゃとかき混ぜるこの大きくて暖かい手は学だと分かるんだけれど、いつもなら安心するそのしぐさも、今は逆に恥ずかしくてたまらなくなる。


「おっどろいた、学ってそんな顔できるようになったのねぇ」

「まぁね。 美月に出会って“愛しい”って気持ちがどんなものなのか分かったから。だから美月以外はいらないんだ、俺」

感嘆の声をだす志保さんに、照れるでもなくサラッとそんなことを言ってしまえる学は、心臓に毛が生えているに違いない。

覚さんは「それじゃあ、こんな風に学を変えてくれた美月ちゃんを、俺たちも大切にしなきゃ罰が当たるな」なんて言いながら笑っているし。

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