最後の恋―番外編―
ほとんど強引に、学の両親との対面を終えた日からしばらくして、学は長期出張へと行ってしまった。
学がいない毎日の寂しさを埋めてくれるのは、お姉ちゃんだったり茜さんだったり。そしてその二人に志保さんまでもが加わっていたりする。
志保さんと覚さんに会った日、帰り際にメアドを聞かれて連絡を取り合うようになった志保さんとは、メル友と言えるほどに頻繁にメールをしていた。
不思議なほどあまり緊張しなくて、特に自分を取り繕うことなくありのままの私で、志保さんとここまで仲良くなれたのは、初対面の時のことが大きいのだろう。
あの時学が、ああやって私の巣を引き出してくれたからこそ、こんなに志保さんと仲良くなれることができたのだ。そして志保さんもとても優しく、気兼ねなくまるで友達のように接してくれる。あの時の学に、今では本当に感謝しているのだ。
志保さんと……――学のお母さんとこんなにも仲良くなれたことが、今までよりももっと学に近づけたような気がして、嬉しかった。
そんな学は、出張中でも時間のある時にメールをくれるし、時々電話もしてくれる。けれど、国際電話はお金がかかるから、なるべくメールにしてほしいと私から頼んだ。
確かに、こんなに離れていたら声が聞きたくなるし、すごく寂しい。
でも、これから先学と付き合っていく限り、こういう長期出張は何度でもあるのだ。そのたびに毎日電話をしていたんじゃ、結構な出費になってしまう。
だったら、今のうちから寂しさに慣れておいた方がいい。それに、できれば会えない時間すらも、恋してるって思えるくらいに強くなりたい。
そんな風に考えたり、私の未来のずっと先まで学がいることを当たり前に思えてしまうほど、私は学に恋をしている。呆れるくらいに溺れているのだ、学との最後の恋に。