最後の恋―番外編―
そんな毎日を過ごしている中で、学が出張に言っていて寂しいだろうと電話をかけてきてくれた志保さんが、思いついたように行ったことがことの発端だった。
『美月ちゃん、学のマンションに行ったことある?』
「あ、はい。 何度かお邪魔したことがあります」
学のマンションは、私にとってすごく思い出のつまった大切な場所のひとつだ。
それは二人が、初めて心も身体もひとつに結ばれたところだからかもしれないけれど。それ以上に学の匂いと気配であふれたあの部屋は、私の大好きな場所だ。
そして、私の第二の家だと勝手に思っている場所でもある。
『じゃあ、今日学の部屋の掃除を、一緒にやってくれないかしら?』
そのお願いに、私はもちろん頷いた。
もう通いなれた学の部屋で、志保さんと待ち合わせ。
スペアのカードキーは、だいぶ前に学に貰っていた。財布の一番上、取り出しやすいところにいつも入っている。
カードキーを使って中に入ったけれど、志保さんはまだ来ていないようだった。
部屋を見回してみる。
志保さんは“お掃除”と言っていたけれど、正直掃除しなきゃいけないようなところが見当たらない。……学の部屋よりも、私の部屋の方が掃除しなきゃいけないかも。
学が出張に行って半月だから、とりあえず掃除機をかけとこうかな、とクローゼットの隅から掃除機を取り出す。
自分の部屋よりも丁寧にかけて、大体終わったところでタイミングよくチャイムが鳴った。