最後の恋―番外編―
きっと志保さんが来たんだと、相手も確認しないでドアを開けたのがいけなかった。
そこにいたのは、志保さんじゃなかった。
とっても、とってもきれいな大人の女の人。
髪は綺麗なブラウンに染められていて、メイクも濃すぎず元の美しさを引き立てている。背も高くて、着ている服もシックな色で統一されていて、そこから伸びる手足はすらりと細くて長い。
思わず見惚れてしまうほどの、大人の雰囲気を滲ませた綺麗な人。
志保さんでも、茜さんでもない。もちろんお姉ちゃんでもない。
もうひとり学に姉妹がいたっていうなら話は別だけれど、学からそんな話は聞いたことがないから、この人は学の姉妹ではないはずだ。
それにしても、学の周りにいる女の人は、こんなに綺麗な人ばかりなのだろうか。
それなのに、私を好きになるって、やっぱり学って趣味が悪いのかもしれない。
固まって動けないでいた私に反して、その女の人は少しも動じることなく口を開いた。
「どちら様?」
それは私のセリフです、とは言えずに「三浦です」と馬鹿正直に名乗っちゃってる私ってどうなの。
「そう。 学はいる?」
言いながら、さも当然とばかりに中に入ってくる彼女は、私の存在を気にも留めていない。