最後の恋―番外編―
こんなことになった経緯を、詳しく教えてくれた雪さんの話を要約すると、こうだ。
学に本気の彼女ができたと、茜さんから聞かされた雪さんは、その時にいかに私と学がヘタレ同士かってことを力説されたらしい。
確かに茜さんには、私の部屋でのぐだぐだしたやり取りを聞かれていたわけだから、そう言われても仕方がないだろう。でも、ちょうどその時、一緒に居合わせた志保さんは、『美月ちゃんと学は大抵のことじゃ別れないくらい想いあっているから、二人とももうヘタレなんかじゃないわよ』と反論したそうだ。
そこで志保さんと茜さんが喧嘩になって、じゃあ確かめてみましょう、という運びになったらしい。私に顔を知られていない雪さんに、仕掛けてもらうことにして今に至っている。
「言われた通りに掃除機をかけ始めて、こっそり泣いてた時には茜の言い分が正しかったかなー、なんて思ったんだけど」
「私の言った通りだったでしょう?」
「確かにね、あの状況でちゃんとコーヒーを出せたのも、理性的に志保さんが来ることを言えたのも、確信があったからでしょう?」
からかうような声音で尋ねられて、「……確信?」と聞き返す。
「学が美月ちゃんだけを愛してるっていう確信」
ふふん、と意味深に目を細めながらはっきりと言われて、顔から火を噴くかと思った。
た、確かにそこはブレないところだけれど。そうやって人から言われると、自分が凄く自意識過剰な痛い女に思えてしまうのはなぜなんだろう。
とても恥ずかしくていたたまれない。