最後の恋―番外編―
そのあと、何故か茜さんまで額の部屋にやって来て、三人のオネエサマたちが企てたとんでもない作戦の大役を、仰せつかってしまった。
「……し、志保さん」
「あれ、ダメよ? ちゃんとやらなきゃ」
おずおずと、一番助けてくれそうな志保さんに、作戦実行直前になって助けを求めてみるけれど、見事にきっぱりと切り捨てられる。次に視線を雪さんに向けてみたけれど、にっこ笑顔で首を横に振られただけで終わった。
……まだ何も言ってないのに。
そして最後に一応、茜さんにも視線を送ってみる。けれど、案の定完璧な笑顔を返されてしまって、私は諦めの息をひとつ吐いた。
三人がたてた作戦は極めてシンプルだ。でも私はとっても気乗りがしない。
志保さんと茜さんの建てた作戦に、まんまと引っかかってしまった私だからこそわかる。学の気持ちは分かっているのに、考えたってどうにもならない、学の過去への嫉妬と向き合うのは苦しかった。
複雑な感情が自分の中でせめぎ合う、さっきのような出来事はあまり経験したくない。
だから今から学に電話して、“元彼によりを戻そうって言われたの”なんて言葉を、学に言いたくなかった。言ったら学にも私と同じ気持ちを味あわせてしまうことにある。そんなことはしたくない。
手の中の携帯をぎゅっと握りしめていると、三人の視線がじっと集まったのが分かった。