最後の恋―番外編―


……その言葉で、私は見事に陥落された。


だって、なかなか私が学を振り回せることなんてないし。それに、こうやって学の家族と一緒になって、企みに参加できることが嬉しかったから。

……とはいえ、罪悪感がなくなったわけじゃないけれど。

よしっと気合を入れてから、私は学の番号を呼び出した携帯を耳に当てる。
外国でも使える携帯にしておいてよかったと思うのは、こうやって海外に行くことのある学と出会ってからかもしれない。


「……」


続く呼び出し音。
三人の視線が私に集中している中、学の指定席でもあるひとり掛けのソファの上に膝を抱え込んで座って、学が出るのを待つ。


『もしもし、美月?』


耳元で聞こえた声に、自然と顔が赤らむ。
学は見た目も極上なのに、声もかなりイイ。直接耳元でささやかれるのも好きだけど、電話越しに聞く声も、私が勝手に作った“学の好きな声ランキング”の上位に入る。

スピードを加速させた自分の鼓動を感じながら、それを落ち着かせるために静かに息を吐く。私を見つめる三人の、無言で拳を挙げながらの“行け行け!”という後押しも手伝って、覚悟を決めた。

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