最後の恋―番外編―
「うん、より戻そうって言われた」
なるべく平静を装って口にすると、すぐ近くにいる三人が三人とも親指を立ててくれたので、切り出し方は合格だったようだ。
それに安心しながら、ドキドキして学の返事を待つけれど、意外にも『ふぅん』という気の抜けた返事が返ってきた。
……あれ? それだけ?
自分で嘘をついておいてなんだけど、もっと嫉妬してくれたり、ふてくされていると分かるような反応が返ってくると思っていたのに。今は、子供坂口さんじゃなくて、大人坂口さんだ。
何だか今、自分で掘った穴に見事に自分で落ちたっていうか、思いっきり自爆した感じ。
でも、なんとなく学の気持ちが分かるような気がする。
さっき雪さんと会った時の私と同じような気持ちなんだ、きっと。
あいての気持ちが自分に向けられている、という根拠のない絶対の自信があるんだけど、やっぱり面白くない。でも、それを相手に言っても仕方がないって、自分が一番分かっているから、なんとか普段どおりの自分でいようとする。
多分、そんな感じなんだと思うんだけれど。でも、ここはやっぱり“お前は俺のもの”的な言葉がほしかったというか、なんというか。
やっぱりちょっと調子に乗っていたかもしれない、と反省して小さく息を吐いた。
学の反応に、三人とも同じように拍子抜けしていて、面白くないとはっきり顔にだしていた。