最後の恋―番外編―
学と話す茜さんの様子を、落ち着かない心地で見つめる。
ふたりは一体どんな会話をしているんだろう。そわそわしている私の横では、一通り笑い終えた志保さんと雪さんが、湯気の立つカップを片手に、のんびりお茶を飲んでいた。
……いつの間に用意したんだろう。
もう学をからかうのに飽きたのか、一通り終わったからもういいのか、ふたりの話題はお互いの旦那さんの自慢大会になっていた。
……やっぱり大人ってよくわからない。
がっくりうなだれていると、茜さんのすらりと細い足が視界に入った。
その羨ましいくらいに綺麗な足を辿って視線をあげると、目の前に私の携帯が差し出されている。
「はい、美月ちゃん。とりあえず説明はしておいたから」
有無を言わせずに渡された携帯を受け取ると、茜さんまで旦那さんの自慢大会へと参加してしまう。ぽつんと一人取り残されてしまったような気分だ。
さっき言ったことが茜さんたちの指示によるものだと、その策略に私が乗ってしまったということが学に知られてしまったこの状況で、電話に出ろと言うのだろうか。
さっきみたいに携帯に耳を寄せて、一緒に聞いてくれないかな。
そう思って視線を挙げてみても、三人の意識はもう旦那さんへと一直線だった。
ひとり蚊帳の外に放り出された私は、半ばやけになって、電話の向こうの学にとにかく先手必勝とばかりに謝った。