最後の恋―番外編―


それから黙々と編み続けて、私がストラップを編み上げたときには、お姉ちゃんの手元に編み終わったコースターが3枚も出来上がっていた。

それをマグカップの下から取り出した宮田さんのコースターと比べて、眉を寄せながら「やっぱり誠人君の方が上手くて悔しいなぁー」なんて言っている。

それを横目に自分が編み上げたストラップを目の前に掲げてみる私。

いびつで、ガタガタで、それでも一応花だと分かるレースが3つ連なっているそれは、初めて作ったストラップより確実に上達していた。


「それを渡した時の学の間抜けな表情が目に浮かぶわね」


いつの間に私の方を見ていたのか、お姉ちゃんはローテーブルに頬杖をついて呆れたように笑いながら言った。

そして視線を自分の編んだコースターに落とすと、「私がこれを誠人君に渡したら、絶対ここがまだダメだのなんだのって酷評されるだけなのよね……」と、悔しそうに、でも少しの切なさを滲ませてそう零した。


綺麗なお姉ちゃん。
優しくて、何でもできて、気配り上手なお姉ちゃんは、宮田さんに長年片思いをしている。

まさに美女と野獣みたいな二人だけど、とってもお似合いなのに。

宮田さんはお姉ちゃんの気持ちにちっとも気付かない上に、お姉ちゃんは色恋沙汰になるととことん消極的になってしまうらしい。


宮田さんの前だと、素直になれないんだとこの間ぽつりとこぼしていた。
< 65 / 101 >

この作品をシェア

pagetop