最後の恋―番外編―
私は、お姉ちゃんに敵わないものがたくさんあるけれど、好きな人と両想いであるという意味でても充実している。
その点ではお姉ちゃんより恵まれていると言えるんだろう。
でも、そんなことで優越感なんてちっとも持てない。
むしろ、お姉ちゃんにも宮田さんと早く恋人同士になって幸せになってもらいたいと、心から願っている。
できれば4人でダブルデートとかしてみたい、なんて。
だからこそ私はお姉ちゃんにアドバイスをしてみた。
きっとこれは人生初のお姉ちゃんへの助言かもしれない。
「お姉ちゃんも作れば? ハートの飾りのついたストラップ」
「……え?」
目を丸くして、顔を真っ赤にするお姉ちゃんを可愛いなぁと思う。
「お姉ちゃんほどの腕があればそのハートに文字を入れて編むのだって簡単でしょう? だからさ、ハートを連ねて“LOVE”とか“スキ”とか文字が出来るようにして“これ私の気持ち”って渡せばいいじゃん」
宮田さんの前だと素直になれないっていうなら、そうやって伝えればいい。
手紙でもいいけれど、刺しゅうとか可愛いもの好きな宮田さんならそういう伝え方の方がよりインパクトを与えられるに違いない。
私の言葉を聞いたお姉ちゃんは、最初は顔を真っ赤にしながら「で、でも……」と困惑していた。しばらく頬に手をあてて「どうしよう……」と悩んでいたお姉ちゃん。
やがて決心したかのようにひとつ頷いて、「うん、やってみる」と意外にも私の考えを実行することに決めたようだった。