最後の恋―番外編―
「学っ! 下にお母さんもお父さんも……!」
「うん、分かってる。 最後まではもちろんしないよ」
その言葉を喜ぶべきなのか、それともこんな状況なのに最後まで行かないまでもそういうことをしようとするのを怒るべきなのか。
ぐるぐる考えているうちに学の右手はどんどんと進んでいく。
「学!!」
それ以上はダメだという意味を込めて思わず名前を呼ぶけれど、「俺だってね」と耳元で学の声が直に吹き込まれる。
「仕事帰りに美月に会って、美月の匂いのする美月の部屋で、美月といちゃいちゃしてたいのに。そうじゃない美月が、春陽と誠人の話をしてることに少し怒ってるんだよ」
耳を音を立てながら舐められる。直に響いて聞こえる、ぴちゃ、という水音にぞくぞくと身体にしびれが走った
「で、でもそれは学から二人の話を切り出したんじゃ……!」
「うん、面倒なことは先にちゃっちゃと済ませて、美月といちゃいちゃいたいからね」
右手が服の隙間をぬって、直に素肌に触れていく。
お腹を撫でて、脇腹をたどって、そのまま上に徐々に上がって。
顔が見えなくて、手元も見えなくて、想像するだけだから余計に羞恥に襲われる。
「っ、だめっ……」
咄嗟に出た声は、いつもの私からは想像できないくらい……、自分で聞いて恥ずかしくなるくらいに頼りなくて、……色をにじませた声だった。