最後の恋―番外編―
初恋の行方。【中編】
微かな物音がした気がして、ふと目が覚めた。
それと共に感じるのは頭の内側から響くような重い痛み。
……そうだ。私、誠人君と一緒に居酒屋に行って、言おうとしてもどうしても言えなくて。
お酒の力を少し借りれば言えるかと思って一口飲んだのに、結局勇気が全然でなくてそのまま飲み続けちゃって……。
それで、それで……?
痛む頭をおさえながら上半身を起こすと、肩までかけられていたタオルケットが腰のあたりまでずり落ちた。
薄い水色の肌触りのいいそれは、私のものじゃない。
そのことに思い当った私は、慌てて部屋を見渡す。
ブラウン系で家具がまとめられているベッドルーム。
ドアの横にあるチェストの上に、綺麗に並べられている腕時計。
そのどれもが、見覚えのある腕時計だ。
その腕時計たちの持ち主は……。
ここが誰の部屋なのかすぐに把握した私は、思わず自分の姿を確認した。
服は、着ている。
……なにも、なかった……?