最後の恋―番外編―

口にすれば呆気ないほど、それが自分の中に浸透する。
どうしてその気持ちが自分の中にあったことにすら気づかなかったのか。

それほどまでに、春陽への想いが溢れて困惑さえする。


「やっべぇ。 帰したくねぇな」


ずっと腕の中に閉じ込めておきたい。


「……むしろこの家に住めばいいのに、春陽の手料理美味いもんなぁ」


一人呟きながら、腕の中の春陽を覗き込んで、滑らかな頬をなぞってその感触を楽しむ。

瞼に、頬に、額に、鼻に、そして唇にキスをして。
すればするほど、愛おしさが増える。


こうやって眠る春陽を抱けるのは俺だけでありたいとか。
触れられるのは俺だけでいい。他の男に触れさせてやるもんか、とか。

思春期のガキみたいな思考が頭を埋め尽くして、でもそれ以上に腕の中の存在を大切にしたいという想いが溢れるのだ。


「確かにこの独占欲は子供みてぇだな」


自分の思考に苦笑いしつつ、もう一度柔らかな唇にキスを落とした。



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